2004年1月、鎌倉に小さなジャムのお店を開きました。名前は、私の名前をもとに屋号にしたromi-unieに、フランス語でジャムを意味するConfitureをつけた「ロミ・ユニ コンフィチュール」。
ここから20年、お店の場所も変わったり、増えたり、作っているものもジャムから焼菓子やチョコレートやアイスクリームなど、どんどん広がって、たくさんの仲間も増えて、あぁ、20年ってこんなにいろんなことができるんだなぁと、大変感慨深くこの時を迎えています。
今まで支えてくださったお客様、そして一緒に働いてきたたくさんのスタッフ、関係者の皆様に感謝でいっぱいです。
本当にありがとうございました。
私はフランス菓子に魅せられて、フランス菓子屋さんで働いたり、フランスに留学したり、フランス料理学校で仕事をしたりして、20代が終わるまでどっぷりとフランス菓子の世界に浸かっていました。
お菓子づくりは生活の中での小さなイベント。この小さな楽しみ、小さな喜びをたくさんの人に広めたいと思い、菓子研究家という、お菓子づくりの楽しみを伝える仕事に踏み出しました。家庭でも気軽に作れるお菓子をいろいろと考えましたが、ジャムづくりをしていると、フルーツと砂糖を煮たら出来上がる最小限のお菓子だと気がつきました。
これはみんなにお知らせしたい!手作りしたジャムの味は、工場生産のそれとは全然違っていて、簡単でおいしい。これはいろんな人に伝えなくちゃと、強く思ったのです。
私のそれまでの人生で独立した点で起こっていた出来事が、運命に導かれるように線になって繋がっていった先は「ジャム」でした。フランスでは美味しさのこと、大切にしたい香り、食生活の楽しみ、豊かさ、いろいろなことを教えてもらいました。
ジャムは、フランスでは家庭の味として受け継がれているもので、食文化としては日本で感じていたイメージとは少し違っていたような気がします。
巡る季節ごとに実る果実に触れる喜び、フルーツに砂糖を加えて煮ることで引き出される加熱した果実の香りや風味。
そしてフルーツを組み合わせたり、お菓子をつくる時みたいにスパイスやバニラ、蒸留酒を加えるだけで、こんなに楽しいジャムができるなんて!
ジャムづくりがどんどん楽しくなりました。
瓶につめて、色とりどりに並べたら美しい様子で、ジャム瓶をプレゼントとして配れば、みんなが喜んで味わってくれる。おいしくかわいいジャムが並んでいるジャム屋さんなんて、絵本の1シーンみたいで、想像するだけでワクワクしました。はじめはジャムづくりをするアトリエが目的でスタートした計画は、アトリエだけじゃもったいないからお店になっていきました。
こうして私が出会ったフランスのお菓子づくりのエッセンスを込めたコンフィチュールの魅力を、たまたま住んでいた鎌倉で、ジャム専門店Romi-Unie Confitureとしてお店の形にして、仕事にすることになったのは、今となっては、運命としか思えません。
こうして20年間ジャム屋を続けていますが、ジャムづくりは全然飽きず、いつでも楽しいものです。本当は、おうちでいろんな人にジャムづくりをしてみてもらいたいなぁと願っています。
それはまだまだ伝えきれていないかもしれません。ジャムの楽しみも、もっともっと伝えていかなくちゃ。
20周年を機に、改めて、ジャムで食の楽しみがひろがる日々を、たくさんの方と共有したいと思います。
これからも仲間と一緒に、暮らしが豊かになるようなジャムやお菓子を丁寧につくり、お買い物が楽しくなるお店屋さんを続けていきたいと思います。
どうぞ皆さん、これからもromi-unieをよろしくお願いいたします。
2024年1月 romi-unie代表 いがらし ろみ
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