1月15日に20周年を迎える、Romi-Unie Confiture。
その記念企画として、romi-unieとともに歩んでくださった方とのトーク「romi-unie TALK」の企画がスタート。
20周年記念の対談第一弾は、鎌倉の「カフェ・ヴィブモン・ディモンシュ(以下ディモンシュ)」の堀内隆志さんです。
二人が鎌倉にお店を開いた理由
堀内さんといがらしろみの出会いは、いまから遡ること26年前。(その時のお話は過去のブログに詳しいので、そちらを一読ください)
現在はromi-unieブレンドをはじめ、数々のコラボ企画でご一緒させていただいています。
対談は二人の出会いに欠かせない、ちょっと懐かしい、90年代後半のカフェブームの話からスタートしました。
堀内 20周年、おめでとうございます。
ろみ ありがとうございます。ディモンシュさんも今年で30周年ですよね。
堀内 はい、4月でそうなります。
ろみ ディモンシュさんがオープンしたのは、カフェブームの夜明け前、みたいなころでしたよね。
堀内 もう、カフェブームって言っても分からない世代が増えてきて、時代を感じますが、だいたい1990年代後半にブームになって、2000年がピークでしたね。そのあとは細分化していった感じです。
ろみ これまで、いろんなブームの荒波を乗り越えてきました。
堀内 自分自身にも、いろんなブームがあったからね。
ろみ そうですよ! 最初はフランスの人だったのに。
堀内 店名もフランス語にして、ずっとそのつもりで始めたんだけど、途中からボサノバ色が強くなって、ブラジル料理を出すようになったと思ったら、次に焙煎ブームがやって来て、今は水ですよ(笑)。
ろみ 名水ハンターになろうとしてません?
堀内 はい、ちょっと目指しています(笑)。その話を始めると長くなるから、今日はやめましょう。ろみちゃんには、「ロミミエ」(いがらしが以前組んでいたフードユニット)時代、カフェの料理やお菓子のメニュー提案をお願いしたこともありましたね。うちの店で、カスレとかタルティーヌを出していた時代もあったな。
ろみ そこから数えると本当に長いお付き合いです。ディモンシュに行き始めたのはまだ20代で、料理学校に勤めていた頃でした。当時、わたしにとって、鎌倉といえばディモンシュで、その前後に「カジノクラシックス」(ネオアコ系のCDショップ。現在は閉店)に寄るのがコースになって、よく通うようになったんです。
堀内 オリーブ少女でしたからね。
ろみ そのあと、勤務先が横浜になったタイミングで、鎌倉に引っ越したんですけど、もし堀内さんが鎌倉にお店を出してなかったら、引っ越しもしてなかったし、お店も鎌倉には開いてなかったと思います。
堀内 えーっ、責任重大じゃないですか。
ろみ ディモンシュが放っていた空気感みたいなものに吸い寄せられて、わたしは鎌倉にたどり着いたんですが、堀内さんは、なぜ鎌倉にお店を開いたんですか?
堀内 すごくお世話になった人が葉山でギャラリーをやっていて、その人の影響が大きかったですね。そこへ通ううちに、湘南エリアで暮らしている人が本当に気持ちのいい人ばかりだな、と思うようになって。
ろみ わたしも鎌倉に住んで、同じことを感じています。
堀内 当時は、横浜で働いていたんですが、自分自身がちょっとギスギスしているなと感じるようになってたんです。葉山のように気持ちのいい場所で、一回、ゆったり仕事をしてみたいと思うようになって、物件を探し始めました。今の場所は母と姉が見つけてくれて、最初はちょっと広いかなと思ったんだけど、いまはあのくらいでちょうどよかったなと思ってます。
ろみ うちは大家さんが変わったときに、同じ場所でお店を続けるのが難しくなって今の小町通りに引っ越したんですが、堀内さんは同じ場所で、あの広さのお店をずっと人気店として続けていらっしゃって、それって、本当にすごいことだと思うんですよ。
堀内 いやいや、山あり谷ありですよ。最近、7年ぶりにテントをオープン当時のものに変えて、ちょっとだけ心機一転の気分を味わっているところです。
ろみ 始めたころは、どんなお店にしようと思ってましたか?
堀内 その葉山のギャラリーにやって来るお客さんというのが、地元の人もいれば、東京から来る人もいて、アート好きだけでなく、いろんな人が分け隔てなく、気持ちよさそうに時間を過ごしていたんです。
当時の鎌倉は、観光客向けと地元の人向けにはっきり分かれた店ばかりだったから、自分も偏らず、いろんな人が自分の時間を過ごせる場所にしたいなと思ってましたね。
ろみ その通りになってますよね。
堀内 いまやカオス状態とも言えるんですけど(笑)。でもそれがいいな、と思っています。
ろみ いつ行っても、本当に落ち着けて和めます。鎌倉のオアシスですね。
全力で突っ走るコラボレーション
ろみ 堀内さんには、もうずっとromi-unieブレンドでお世話になっています。「Maison romi-unie」のオープンからだから丸15年になりますね。いまは、毎年クリスマスブレンドと、一昨年から「ハッピーホリデーボックス」も始まって、ご一緒させていただくアイテムも増えてきました。今年の「ハッピーホリデーボックス」も本当におつかれさまでした!
堀内 120㎏の豆を、夜中に焙煎し続けましたよ。ところで、romi-unieブレンドは、どうしてナンバーワンって付けたんだっけ?
ろみ 2番、3番って続くかなーと思ってたんですけど、コンスタントにファンがついてくださって、このままでいいかなって。その代わりデカフェをつくっていただいて、こちらもすっかり定番になりました。
堀内 デカフェは、本当に需要が増えましたよね。
ろみ うちは女性のお客さまが多いから、デカフェのリクエストはわりと前から多かったんです。
堀内 出産祝いでも喜ばれますね。
ろみ 堀内さん、いっぱいブレンドものをやりますよね。ちょっと特殊なやつも含めて。
堀内 夏の日焼けブレンドとか、ロッキーブレンドとかね。
ろみ romi-unieのクリスマスブレンドのコーヒーも毎年中身を変えてくださるし、「ハッピーホリデーボックス」のときも、ディモンシュさんでは出していないブレンドや、焙煎違いのものも入れてくださって。全力で応えてくださるから、お客さんにも刺さるんですよ。
堀内 よかったです。
ろみ ブラジル音楽のときもそうでしたけど、好きになったら、コンピレーション・アルバムをつくれるまで詳しくなって、気づけば重鎮になってるし、ラジオのパーソナリティもずっとやっていますよね。焙煎も師匠クラスになって、とにかく極め方が半端じゃない。コラボをご一緒させていただいて、改めて堀内さんは、凝り性だなーって思いました。
堀内 知りたくなるんですよね。そう言うけど、ろみちゃんだって器用ですよ。イラストも描けちゃうし。
ろみ 自分の店のものには描けますけど、人様の商品には怖くて描けません。
堀内 最初の頃からずっと見てきたから分かるけど、ジャムから始まって、焼菓子の店を東京に開いて、フェアリーケーキフェアの監修とか、アーティストとコラボ商品をつくったり、着々と実績を積んで、そのバイタリティにいつも刺激されてるんですよ。さらに元気ももらって、いろんなアイデアも授けてくれる。
ろみ プレゼンと言いかえてもいいんですが…。
堀内 うちの「みさわクッキー」(「みさわ」は堀内家の愛犬の名前)は、ろみちゃんから言ってもらって形になりましたからね。コーヒーに小さなクッキーがあるといいな、みたいなアイデアは、はじめの頃、僕らにはまったくなくて。
ろみ クリスマスシーズン限定ですけど、ザッハトルテもそうでしたね。
どうも、自分の店のお菓子をカフェの空間で食べたいっていうのが、私のなかにあって、でも自分ではカフェをやってないから、つい「ディモンシュさんのコーヒーと、うちのザッハトルテを一緒に食べられたら最高」みたいに、くっつけて考えちゃう。で、思いつくと、提案せずにはいられない(笑)。
堀内 うちはうちで、ザッハトルテに合わせて、新しいブレンドを提案したり。
ろみ 「ハッピーホリデーボックス」のときも、考え始めたら、お客さんが絶対喜んでくれる、と思って、「みんなで頑張ろうよ!」とマックスでやりたくなって、堀内さんに説明しに行ったんです。まだちゃんと全貌が見えていないのに、OKしてくださって、最後は焙煎で大変な思いをさせてしまうという。
堀内 誰かが喜んでくれる、っていうところに原動力があるというのは、僕も同じで、どんなものができるんだろうという好奇心もあるんです。ろみちゃんの商品は、アイデアの塊みたいなものが多くて、アドベントカレンダーやアーティストの人たちとのコラボとか、すごいものをつくっているでしょ。
ろみ コラボものをやるときは、通常商品との作業配分や時間のやりくりが必要で、派生するいろんなことを考えなきゃいけないから、たいへんになることは分かってるんです。でも、買ってくださったお客様がワイワイ盛り上がってくれるのを妄想すると、突っ走れるというのは、ずっと変わりませんね。
堀内 そこは僕も似たところがあるかな。だから、ついやりすぎちゃう。でも、世の中にこういう商品はなかなか出てこないから、やりすぎくらいでちょうどいいのかもしれないと思っています。
これからの二人の野望
ろみ そういえば、30周年記念にスタンプラリーをするとかしないとか言ってませんでした?
堀内 やりたいけど、どうなるかなー。
ろみ 鎌倉では今年、節目の年を迎えるお店がいくつかあるんですよね。楽しいお店が増えて、いろいろお買い物してまわれる街だから、つい何か企画したくなる。
堀内 僕が店を始めたころは、本当に何もなかったんですけどね。
ろみ ディモンシュから鎌倉に集まる人が少しずつ変わって、素敵なお店が増えたんですよ。
堀内 店を初めて、30代になったかならないかくらいで、周りのみんなも力をつけてきて、仕事とは違うところで面白いことをやってみよう、みたいなそんな雰囲気は当時、確かにあったかな。
ろみ フリーペーパーをつくったり。
堀内 暇だったから(笑)。
ろみ そういう空気感が早くからあったので、わたしも鎌倉に移って、ここでいいじゃんって、すぐ思えたんです。もちろん、電車に乗れば東京はすぐで便利だし、後半は湘南新宿ラインができて、さらにスムーズになって…。
堀内 あれは大きかったですね。移住してくる人がさらに多くなった気がする。
ろみ 山から流れてくる空気に癒やされたり、住んでいる人やご近所のお店とか、ほっとするものに囲まれているって、年齢を重ねるほどに大事だなと思うようになりました。特に震災やコロナのあと、世の中が大きく変わって、しんどいことが多いときでも、堀内さんとこうして話していると、ワーッといろんなアイデアが広がるんです。
堀内 どんなときも、ろみちゃんは前向きだから、そこがいい。僕も話していて、元気が出ます。
ろみ 次は、名水ハンターとしての活動で忙しくなりそうですね。
堀内 はい、また突き進んでいきますので、どこに着地するか、楽しみにしていてください。
ろみちゃんはこの先の20年をどうしていくか、もう計画してる?
ろみ 最終的にやりたいことはもう決まっていて、準備も少しずつ始めています。でも、その前にまだまだやりたいことがあるので、また何か思いついてしまったら、堀内さんにプレゼンに行くかもしれません。
堀内 次は何が来るんだろう。楽しみに待ってます。
堀内隆志(ほりうちたかし)さんプロフィール
鎌倉「カフェ・ヴィヴモン・ディモンシュ」マスター。
1967年生まれ。1994年にカフェを開き、2009年からは自ら焙煎も手掛ける。ブラジル音楽のCDプロデュースや選曲、FMヨコハマや湘南ビーチFMでレギュラーを持つなど、音楽にも造詣が深い。大のプロレス好きでもある。
café vivement dimanche Web Shop:http://dimanche.shop-pro.jp/
Instagram :@cvdimanche
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