17.レモンとオレンジのマーマレード、「Amitie(アミティエ)」

17.レモンとオレンジのマーマレード、「Amitie(アミティエ)」

この10年で日本は柑橘王国になりましたね。バレンシアオレンジだけでなく、ブラッドオレンジ、ベルガモット、グレープフルーツも国産が出回るようになって、2~4月にかけては、はっさく、夏みかん、日向夏(伊豆や熱海、湘南ではニューサマーオレンジと呼ばれます)と和柑橘も次々に届きます。国産の柑橘が増えたおかげで、年々、マーマレードづくりが楽しくなってきています。20年前には想像もしなかったうれしい変化です。

お店ができたばかりの頃、特にオレンジは輸入品しかなく、ワックスや防カビ剤を使っていないものを探すのに苦労しました。国産の柑橘が出回る時期だけおつくりしていましたが、限られた季節にしか棚に並ばないこともあって、お客様に「マーマレードはないの?」と聞かれることもたびたび。そこから、通年で出せないか試行錯誤して生まれたのが、レモンとオレンジのジャム「アミティエ」でした。

マーマレードのおいしさはまわりの皮にあります。実だけジャムにしても、あの爽やかな香りはほとんどしないのです。オレンジにはいろんな種類がありますが、わたしは断然バレンシアオレンジ派。特にアメリカのものがイメージ通りの香りと味なのですが、肝心の皮が使えない。皮をどうしようと探していたとき、スペインのオレンジの表皮をすりおろしたものが冷凍で輸入されていることがわかり、中の実はアメリカ産、香りはスペイン産でバランスをとることに。必要な皮の歯ごたえは、冷凍の国産レモンの皮が通年で買えたので、これで補いました。3つの国の柑橘が仲良くひとつになって生まれたレシピなので、アミティエ(友情)と名付けました。

本場イギリスのマーマレードは、苦みもしっかりして煮詰めた飴っぽい甘さが伝統的に良しとされますね。わたしは苦みのあるマーマレードがあまり得意ではないのでアミティエに使うレモンの皮は4、5回茹でこぼして苦みをぬいて、柔らかくしてから刻みます。レモン果汁にも苦みが入らないよう、皮を剥いてからしぼったものを使っています。砂糖はしっかり加えますが、軽やかな甘さになるよう長く煮詰めません。こうすると、柑橘の香りがふわーっと広がって、フルーティーでジューシーなやさしい味わいのマーマレードに仕上がります。

おすすめの食べ方は、ミックスしたフルーツに加えてフルーツポンチ(バナナ、キウイ、イチゴ)にしたり、フルーツサンドにぬると、果物から別の表情が引き出されて、びっくりするくらいおいしくなります。マーマレードでマリネしたフルーツをアイスクリームやマスカルポーネに添えたおうちデザートも、気に入ってもらえると思います。

そして、もうひとつのとっておきが、クロワッサンの間にアミティエを薄くぬる食べ方。いっぱい塗るのではなく、うすーくがポイント。発酵したパンとバターの香り、ちょっとほの甘いところがパネットーネの香りに似て、カプチーノと一緒に食べると、イタリアの朝ご飯が再現できますよ。

ライン

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